呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「君と白豚の婚姻を無効化したのも、このためだ。私は君が未亡人でもいっこうに構わないが……王宮はどうでもいいことにうるさくてね。王宮が手を回し君の歴史から〝ジョアンの妻〟だった事実を消した」

 ハンナは言葉もなく、目を丸くするばかりだ。

 中級貴族の娘、それも無効化されたとはいえワケありの自分が王妃だなんて、絶対にありえない話なのだ。

 それを、彼は十五年前の時点から本気で考え、動いていたとは――。

 開いた口が塞がらないとはこのことだ。

「今は亡き私の父、前陛下もまぁ根負けいう感じではあったけれど承諾してくれたし、実はハンナの両親の許可もすでに得ているんだよ。あとは、君のイエスを待つだけだ」

 エリオットはハンナの頬を大きな手を包み込み、ニヤリと悪魔めいた笑みを浮かべた。

 彼のこんな表情は初めて見る。エリオットが自信に満ちあふれた大人の男性になったことを否が応でも実感させられて、心臓がざわめく。

「ハンナには悪いけど……逃がしてあげる気はないよ。――必ずイエスと言わせる」
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