呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「殿下ならば、東大陸を訪問する機会もあるかもしれません。そのときのために、語学を学んでみるのもいいでしょうね」
「うん」

 彼の成長は決して外見だけではない。

 もともと、地頭はよかったのだろう。教えたことはあっという間に理解して、次の学びへと繋げていった。

(私なんかよりもっと優秀な師がつけば、殿下はますます才を伸ばすと思いますのに。そのためには……)

「ハーディーラさまは?」

 ハンナはハーディーラの姿を探してキョロキョロする。彼はいつも人型をとっているわけではない。

 身軽だからとコウモリの姿をしていることも多いし、人間の目には見えない煙になることもできるらしい。

 自由気まま、変幻自在なのだ。

「さぁ。ここ一週間ほど見かけていないな」

 いつものこと、という感じでエリオットは気にしていない。ハンナは小さく肩を落とした。

 ハーディーラの力を使いこなすことができるようになれば、エリオットの未来は大きく開ける。それは確実なのだが、ハーディーラに協力する気は皆無なようだ。
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