呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
パッと弾かれたように彼が顔をあげる。
驚きと照れで、エリオットの頬はかすかに赤く染まっていた。ハンナはじっと彼を見つめる。
「殿下は強く、優しい人です。なので必ず、愛を貫くことができるはず」
エリオットの妻になる女性は幸運だ。彼はきっと、たったひとりのその相手を幸せにするだろう。
「私はそう信じております」
ナパエイラへと旅立ったら、もう二度とエリオットと会うことは叶わなくなるだろう。
ハンナにできるのは、願うだけ。
(遠い異国から、あなたの幸せを祈ります)
エリオットは表情を曇らせ、ハンナの手をギュッと強く握り返した。
「ねぇ、ハンナ。どうしてそんなに悲しそうな顔をするの? 君の声が震えている理由は?」
ハンナはふふっと切なくほほ笑んだ。
「本日は、殿下にお伝えしなくてはならないことがあります」
教育係の任務はそろそろ終わりであること、そして自分は遠い異国へ嫁ぐこと。
ハンナは事実だけを淡々と告げた。
その裏にある、エリオットとの別れを寂しく思う心。それをどうにか隠しとおすために必死だった。
話を聞き終えた彼は、この世の終わりみたいな顔でうなだれる。
「嫌だ。嫌だよ。ハンナがそんなに遠くに行ってしまうなんて……もう会えないかもしれないなんて絶対に嫌だ」
エリオットは素直で、むきだしの感情をハンナにぶつけてきた。
驚きと照れで、エリオットの頬はかすかに赤く染まっていた。ハンナはじっと彼を見つめる。
「殿下は強く、優しい人です。なので必ず、愛を貫くことができるはず」
エリオットの妻になる女性は幸運だ。彼はきっと、たったひとりのその相手を幸せにするだろう。
「私はそう信じております」
ナパエイラへと旅立ったら、もう二度とエリオットと会うことは叶わなくなるだろう。
ハンナにできるのは、願うだけ。
(遠い異国から、あなたの幸せを祈ります)
エリオットは表情を曇らせ、ハンナの手をギュッと強く握り返した。
「ねぇ、ハンナ。どうしてそんなに悲しそうな顔をするの? 君の声が震えている理由は?」
ハンナはふふっと切なくほほ笑んだ。
「本日は、殿下にお伝えしなくてはならないことがあります」
教育係の任務はそろそろ終わりであること、そして自分は遠い異国へ嫁ぐこと。
ハンナは事実だけを淡々と告げた。
その裏にある、エリオットとの別れを寂しく思う心。それをどうにか隠しとおすために必死だった。
話を聞き終えた彼は、この世の終わりみたいな顔でうなだれる。
「嫌だ。嫌だよ。ハンナがそんなに遠くに行ってしまうなんて……もう会えないかもしれないなんて絶対に嫌だ」
エリオットは素直で、むきだしの感情をハンナにぶつけてきた。