呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
ふたりは揃って、泣き出しそうな顔で見つめ合う。
「殿下はまだ十五歳。生涯でたったひとりの相手を決めるには、少し早すぎるかと思いますよ」
エリオットはむっつりと下唇を噛み締め、納得できないと言いたげな顔をする。それを見たハンナはクスリとして続ける。
「ここだけの話、にしてくださいね」
そう前置きしてハンナは自身の妄想を語り出す。
「私、いつかエリオット殿下はこのオスワルト王国の王になられると思っているのです。エリオット陛下の治める王国はきっと素晴らしいでしょうね」
若く、勢いのあるナパエイラのような国たちからは『斜陽の大国』なんて言われているオスワルトだが、エリオットならもう一度、この国を最盛期に導いてくれるような気がするのだ。
六大精霊であるハーディーラがどうしてエリオットと呼び合ったのか。
たった半年と少しだけれど、彼をそばで見守ってきたハンナにはその理由がよくわかる。
ハンナは視線をあげ、エリオットの姿をとらえた。
(あぁ、やはり)
すすだらけの離宮のなかにいても、泣きそうな情けない顔をしていても、エリオットの放つ光は輝くばかりに強く、決して陰らない。
「殿下の人生は今、花開くときなのです。これからたくさんの人と出会い、交わり、そして……たったひとりの女性を見つけるでしょう。そのとき、私と学んだことをちょっとでも思い出してくださったら、私はとても幸せです」
「殿下はまだ十五歳。生涯でたったひとりの相手を決めるには、少し早すぎるかと思いますよ」
エリオットはむっつりと下唇を噛み締め、納得できないと言いたげな顔をする。それを見たハンナはクスリとして続ける。
「ここだけの話、にしてくださいね」
そう前置きしてハンナは自身の妄想を語り出す。
「私、いつかエリオット殿下はこのオスワルト王国の王になられると思っているのです。エリオット陛下の治める王国はきっと素晴らしいでしょうね」
若く、勢いのあるナパエイラのような国たちからは『斜陽の大国』なんて言われているオスワルトだが、エリオットならもう一度、この国を最盛期に導いてくれるような気がするのだ。
六大精霊であるハーディーラがどうしてエリオットと呼び合ったのか。
たった半年と少しだけれど、彼をそばで見守ってきたハンナにはその理由がよくわかる。
ハンナは視線をあげ、エリオットの姿をとらえた。
(あぁ、やはり)
すすだらけの離宮のなかにいても、泣きそうな情けない顔をしていても、エリオットの放つ光は輝くばかりに強く、決して陰らない。
「殿下の人生は今、花開くときなのです。これからたくさんの人と出会い、交わり、そして……たったひとりの女性を見つけるでしょう。そのとき、私と学んだことをちょっとでも思い出してくださったら、私はとても幸せです」