呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
(嫁いで二年後。そういえば両親からの手紙にも『エリオット殿下の評判がぐんとあがって、次期国王と噂されている』とあったわね)
噂どおり、彼はその頃には揺るがぬ地位を確立していたようだ。
「ハンナに一目会って、礼を言いたかった。でも、ほんの少し遅かった」
「あ、もしかして私は……」
「うん。私とクロが訪ねた日の前夜に、君は眠りについてしまったんだ」
エリオットはそこで、ハンナと夫であったジョアンは白い結婚であり、彼にリリアナという愛人がいることを知ったようだ。
エリオットは声を震わせて、当時の感情をありありと吐き出す。
「怒りで気が狂うかと思ったよ。私のハンナを奪っておきながら、ほかの女となんて……。いや、あの醜悪な男がハンナに触れていたら、それはそれで怒り狂っていたとは思うが」
ハーディーラが肩をすくめて補足する。
「こいつが権力を振りかざしたのはあとにも先にも、あのときだけだ。オスワルト次期国王の力で、強引にお前をオスワルトに連れ帰ってきたんだ」
「そうだったんですね」
ハンナが故国に帰ってこられたのは、彼のはからいのおかげだったのか。
そうして、それから十五年もエリオットは自分が目覚めるのを待ち続けてくれていた。
エリオットがパチンと指を鳴らす。すると庭に咲いていた虹色の花が大きな、大きな花束となってエリオットの手のなかに落ちてくる。彼はそれをハンナに差し出した。
噂どおり、彼はその頃には揺るがぬ地位を確立していたようだ。
「ハンナに一目会って、礼を言いたかった。でも、ほんの少し遅かった」
「あ、もしかして私は……」
「うん。私とクロが訪ねた日の前夜に、君は眠りについてしまったんだ」
エリオットはそこで、ハンナと夫であったジョアンは白い結婚であり、彼にリリアナという愛人がいることを知ったようだ。
エリオットは声を震わせて、当時の感情をありありと吐き出す。
「怒りで気が狂うかと思ったよ。私のハンナを奪っておきながら、ほかの女となんて……。いや、あの醜悪な男がハンナに触れていたら、それはそれで怒り狂っていたとは思うが」
ハーディーラが肩をすくめて補足する。
「こいつが権力を振りかざしたのはあとにも先にも、あのときだけだ。オスワルト次期国王の力で、強引にお前をオスワルトに連れ帰ってきたんだ」
「そうだったんですね」
ハンナが故国に帰ってこられたのは、彼のはからいのおかげだったのか。
そうして、それから十五年もエリオットは自分が目覚めるのを待ち続けてくれていた。
エリオットがパチンと指を鳴らす。すると庭に咲いていた虹色の花が大きな、大きな花束となってエリオットの手のなかに落ちてくる。彼はそれをハンナに差し出した。