呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
「お着替えのお手伝いは必要ですか? それとも、少しおひとりでゆっくりされますか。陛下はまだ公務が残っているようで、もう少しだけ待っていてほしいとのことでした」
「夜着に着替えるくらい、ひとりで大丈夫よ。あなたも今日は朝から忙しかったでしょう? もう部屋に戻って休んでちょうだい」
「ありがとうございます」

 ナーヤは丁重に頭をさげ、その場を辞した。

「さて」

 ハンナは籠のなかの夜着に視線を落として、ポッと頬を染めた。

(これを着て、エリオットさまを迎える。そうしたら、そのあとは……)

 存在しなかったことにされた前夫ジョアンと違って、彼は新婚初夜をすっぽかすことなど絶対にしないだろう。

 きっと急いで公務を片づけて、ハンナのもとにやってくる。

(あの指先が、唇が……)

 彼の指先に素肌を撫でられ、唇を寄せられる。そんなシーンを想像してハンナは顔を真っ赤にする。

 妄想のなかですらエリオットは色気たっぷりで、ハンナの心をかき乱す。

(と、とりあえず! 着替えを済ませて、お茶でも飲みましょう。エリオットさまが来るまで、まだ時間があるのだから)

 ハンナはエリオットの選んだ、初夜のためのドレスを手に取る。身にまとってみると、その生地の透け具合は想像以上だった。

 たゆんとした双丘がうっすらと透けているではないか。

(は、恥ずかしすぎる)
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