呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
『陛下の愛は重すぎますし、もはや〝気持ち悪い〟の域に足を突っ込んでいます。なので、愛情は控えめ・小出しを心がけるとちょうどよいと思いますよ』

「ナーヤったら」

 おっとりしているように見えて、案外と辛口なのだ。

「だけど、君を前にして愛情表現を控えめにするのは難しい。私の全身全霊が君への愛を叫ぶから」

 それでこそエリオットだとハンナは思った。

(そういうあなただから、私は恋をしたのです)

 ハンナはそっと手を伸ばし、彼の頬に添えた。

「そのままで。ありのままのエリオットさまが……私はとても好きなのです」

 身震いするようにエリオットの肩が跳ねる。

「もう一度。もう一度だけ、聞かせてくれ」
「あなたが、好きです」

 サファイアの瞳に涙がにじむ。

 彼は自身の頬にあったハンナの手を取り、熱い唇を押しつけた。

「シミュレーションは完璧だったはずなんだが……現実のハンナは想像をはるかにこえてくるな」

 エリオットがグッと強くハンナを抱き寄せた。大きく聞こえる鼓動は彼のものか、それとも自分のだろうか。

「君からそんな言葉をもらえるとは思ってもいなかったし、自分の身体がここまで昂るのも想定外だ。――もう一秒たりとも我慢できない」

 彼の重みで、ハンナの身体はゆっくりとシーツの上に沈んだ。
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