甘さなんかいらない



……だから、性格の悪さを棚に上げて、カワイイ自分だけに価値があると思い込んだあたしへの罰だったのかもしれない。



高校生の時よりもメイクや髪の毛、服装も自由にすることできる大学生。


大きくて丸いぱっちり二重の目、上を向いた長い上まつ毛に、下にしっかり下りている下まつ毛。

ぷっくり存在感のある涙袋、主張の強過ぎない鼻に、大きすぎないけれど笑うとしっかり歯の見えるピンク色の唇。

ほっぺはぷにぷにだって言われるし、丸っこい。元の顔の造形にも自信がある。



高校生らしさとか気にしなくてよくて自分らしさ全開でメイクをできるんだから、今まで以上に可愛いで溢れると思っていたのに、大学はそうじゃなかった。



カワイイだけじゃ、生きてはいけなかった。




4月生まれのあたし、すぐに迎えた19歳。


大学に入学してからいくつか経って、それは遅くなく、現実を知った。





「羽山柚果、つまんなかったわ」





────そんな言葉を、聞きたくもないのに聞いてしまった。





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