甘さなんかいらない
ここは普段も、喧騒から逃れる静寂の空間。今日みたいなイベントの日も、少し外れた場所だからか中央より断然静かだ。
そんな空間で、ふと、誰かの声が宙を舞った。
それはあたしには向けられていなくて、他の誰かが拾い上げていた。
「おねーさんひとり〜?かわいいね〜俺とあそぼー」
「嫌です。私、彼氏と来てるんで」
「本当に〜?でも今一人じゃん。楽しいことしよーよ」
「……しつこいなこの低身長キモ男。ねえあなたここの学生?どこ大?事務局…いや警察に通報しますよ?近くの交番まで私と彼氏とともに行きましょうか。あんたは私と一緒に歩けて、私はクソを警察に突き出せてwin-win、良い提案だと思わない?……って、逃げるくらいなら話しかけてこないでよ。千輝以外、私と釣り合うわけないのに」