甘さなんかいらない
視界に取り込んだ目の前の光景。
なにやら綺麗な女の人がその人よりも背の低い男にナンパされていて、冷たい笑みを貼り付けたまま強い言葉で追い払っていた。
あまりにかっこよすぎる流れるようなナンパキモ男撃退劇に釘付けになっていれば、その高嶺の花系激強鬼美人が見覚えのある人のような気がしてきて。
ガン見しすぎていたみたいで、あたしの視線に気がついたその人がこちらに顔を向けて目が合えば、心臓が一瞬止まった。
脳裏に刻まれているあの人だったから。咄嗟に逸らすけどもう遅い。