甘さなんかいらない
目が合ってしまって、美人の具現化・儚さの擬人化が白いスカートをひらめかせ、こつこつとヒールの音とともに近づいてきて、ふわり甘い香りをあたしに届けた。
到底あの強い言葉を繰り出していた冷酷美人とは考えられないほど甘くていい香りと優しい笑み。
瑛くんのバニラとは少し違う、爽やかな甘さ。
コンビニで買ったであろうホットの紙コップを片手に微笑む姿が様になりすぎている。こんな人に勝てるわけがないと改めて思い知らされる。
あたしがかつて持てなかった武器を、生まれながらに持っているようなひと。