甘さなんかいらない【SS更新中】
遥乃さん、柚果さん。お互いをさん付けするような関係性。田邊瑛斗を知っているというだけの共通点。
あたしのほうが圧倒的に浅いに違いない。
……ん? ていうか、なんであたしの名前を知ってるんだろう。名乗った記憶、ないのに。
心の底から申し訳ないといった感情を乗せて、謝る必要のない遥乃さんが続ける。
だって、あたしがこの間帰ったのは自分の勘違いが恥ずかしくて、瑛くんの顔をまともに見られる自信がなかったからだ。
遥乃さんは悪くない。
勝手に勘違いして舞い上がった愚かなあたしに、真実を突きつけるきっかけとなっただけだ。
全部自分のせいなのだから。あたしがヒロインになれることは、ないのに。
「でも、あの時久々に田邊を見かけて、近づきたくなってしまったのには理由があって」