甘さなんかいらない【SS更新中】
そして、遥乃さんだけをまっすぐ見つめて微笑む姿から、彼女に対するストレートで唯一無二の感情まで伝わってきた。
そのストレートさに返すような遥乃さんのほぐれた恋する乙女な表情もまた、たぶんこの人以外では引き出せないんだとわかる。
きっと、誰も勝てない。誰にも邪魔されることのない関係性が一瞬で浮かび上がっている。
「(このふたりのようになれたらいいのに)」
誰が見ても理想的でお似合いなふたりのように、瑛くんとなれたらいいのにって、また贅沢なことを考えてしまう。
瑛くんもあたしと同じようにこのふたりのことを見ていたら、いいのに。
遥乃さんがきっと大好きでたまらないその人のもとへ向かおうと席を立つ。行ってしまう前に、あたしもどうしても聞きたかった言葉を投げかけた。
「……遥乃さん。瑛くんとは、どんな関係なんですか?」
「田邊と……そうだなあ」
頭を傾けて目線を右上に浮かせて、少し考えるような仕草をして、顔を綻ばせた。