甘さなんかいらない【SS更新中】




あたしの名前を呼ぶ少し掠れた低い声が心地良い。

胸に埋めていた顔を上げて瑛くんの顔を覗き込む。





「柚果、好きだよ。可愛くないゆずが、世界で一番誰よりも可愛い」




微笑んで、まっすぐあたしを見つめて伝えてくれるから、あたしも同じように。




「あたしのほうが、大好き!」




踵を上げて、つま先で立って、きみの肩に手を乗せ力を込めて。



初めてあたしから、無許可に瑛くんの唇を攫った。



柔らかくて甘いその感覚は、瑛くんとするものしか知らないけれど、今後も瑛くん限定でいい。





あたしへの“可愛い”も、君からのものだけでいい。一生、だよ?












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