甘さなんかいらない【SS更新中】
.4 特別はフィクション






──春。


「この人だ、」と目を奪われた。


瑛くん──田邊瑛斗に初めて出会ったのは中1の春。



小学生から中学生にジャンプアップしたまさにその日。新入生代表として舞台の上、ひとり立つきみはこの頃から明るい茶髪がゆらめいていた。


何故この人が代表なのだろうと思いかけて、きみが言葉を音にした瞬間に、そんな思いは跡形もなく消え去った。



ハッキリとした話し方、テンポ、言葉選びから滲む知性、賢さ。納得の人選であると誰もが理解をして、同時に、何よりもきみは。



ぱっと人の目を惹く。一瞬で釘付けになってしまう外見の良さがあった。



「集団の代表」にこれほど相応しいひとは、きっと他にいない。



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