想いを伝える人 ~天命に導かれる旅~ 【新編集版】
聖徳太子の声~伝想家~エピローグ
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 室町時代に再建された国宝・南大門(なんだいもん)を抜けて石畳をまっすぐ歩くと、東西の大門を結ぶ参道と交差する十字路に差し掛かった。
 更に直進すると飛鳥時代に建造された国宝・中門(ちゅうもん)が出迎えてくれた。
 金堂と五重塔を収めた西院(さいいん)伽藍(がらん)中心部への入口である。
 門の真正面に立つと、左右から鋭い視線を感じた。
 それは守護神・金剛力士(こんごうりきし)像の視線だった。
 口を開けた阿形(あぎょう)と口を結んだ吽形(うんぎょう)が外敵を見逃すまいと睨みを効かせていた。
 日本最古の仁王像と言われ、国宝に指定されているだけあって、その眼光は鋭く、浮ついた観光客を威嚇(いかく)するようでもあった。
 
「わたくしは才高叶夢と申します。覚悟を持って自らの意志をお伝えしに参りました」

 阿形と吽形に頭を下げて、回廊の西南(せいなん)隅子院(すみしいん)築垣(ついがき)の方へ回った。
 中門を参拝者が通ることはできないからだ。
 
 
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