想いを伝える人 ~天命に導かれる旅~ 【新編集版】
15
朝起きて寝室のカーテンを開けると、抜けるような青空が窓の外に広がっていた。
妻は台所で食事の支度をしていた。
匠は妻のおんぶ紐の中で寝息を立てていた。
わたしは妻の頬にキスをして、匠を起こさないようにそっと頭を撫でて椅子に座った。
みそ汁とアジの一夜干しとほうれん草のおひたしがテーブルに並べられた。
大好きなものばかりだった。
みそ汁をすすって、ほうれん草とご飯を口いっぱいに頬張ると口福が満ち満ちてきて、思わず頬が緩んだ。
「よく眠れた?」
「うん、眠れた。元気いっぱい」
「そう。良かった」
ただそれだけの会話だったが、目の前に座る妻の笑顔を見ているとなんとも言えない幸せを感じた。
するとその幸せに自分も参加したいと思ったのか、匠が目を覚ました。
そして妻の肩越しにわたしを見た途端、「パパ」と可愛い声を発して手を伸ばした。
おんぶ紐を解いて匠を腕の中に収めると、今度は妻の方を向いて「ママ」と言って手を伸ばした。
妻が受け取って抱っこしたが、すぐにまたわたしを見て「パパ」と言った。
そんな感じでわたしと妻の間を何度も往復したので中々ご飯を食べるようにはならなかったが、そんなことはどうでもよかった。
世界一の妻と世界一の息子がいるだけで幸せだった。
これを至福と言うんだろうな、としみじみ思った。
これがいつまでも続いて欲しいと心から思った。
朝起きて寝室のカーテンを開けると、抜けるような青空が窓の外に広がっていた。
妻は台所で食事の支度をしていた。
匠は妻のおんぶ紐の中で寝息を立てていた。
わたしは妻の頬にキスをして、匠を起こさないようにそっと頭を撫でて椅子に座った。
みそ汁とアジの一夜干しとほうれん草のおひたしがテーブルに並べられた。
大好きなものばかりだった。
みそ汁をすすって、ほうれん草とご飯を口いっぱいに頬張ると口福が満ち満ちてきて、思わず頬が緩んだ。
「よく眠れた?」
「うん、眠れた。元気いっぱい」
「そう。良かった」
ただそれだけの会話だったが、目の前に座る妻の笑顔を見ているとなんとも言えない幸せを感じた。
するとその幸せに自分も参加したいと思ったのか、匠が目を覚ました。
そして妻の肩越しにわたしを見た途端、「パパ」と可愛い声を発して手を伸ばした。
おんぶ紐を解いて匠を腕の中に収めると、今度は妻の方を向いて「ママ」と言って手を伸ばした。
妻が受け取って抱っこしたが、すぐにまたわたしを見て「パパ」と言った。
そんな感じでわたしと妻の間を何度も往復したので中々ご飯を食べるようにはならなかったが、そんなことはどうでもよかった。
世界一の妻と世界一の息子がいるだけで幸せだった。
これを至福と言うんだろうな、としみじみ思った。
これがいつまでも続いて欲しいと心から思った。