ポリスに恋した

桜サイド

頭の中が真っ白だ。

『あの、ごめんね。君、誰だっけ?』

玲於くんの言葉が、頭の中で反芻される。

『誰だっけ?』

っ!そっか...。

神様は、これを代償にして玲於くんを助けてくれたのか。

私が、玲於くんが私のことを忘れても、って願ったから。

形容し難いほど悲しいけれど、玲於くんが戻ってきてくれた。

今、目の前で生きている。

その事実が嬉しくも、私のことを忘れてしまった玲於くんに寂しさと虚しさを覚える。
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