ポリスに恋した


あれから1週間。

玲於くんは重症を負ったものの、容態は少しずつ良くなってきている。

しばらくは、警察官の仕事も事務業務に徹するらしい。

恋人に忘れられるなんて、漫画や小説中、フィクションの世界の話だと思っていた。

まさか、私の記憶を失ってしまうなんて思いもしなかった。

しかも、玲於くんとは小さい頃から一緒だったのに。

辛い。苦しい。寂しい。

いま、この時、この瞬間も橙子さんと一緒にいるのかな、なんて考えてしまい胸が苦しい。

「桜!玲於くん、大丈夫なの?」

「まあ、酷い怪我だったけどなんとかね...。私を忘れたこと以外は、検査も異常ないみたい」

「え、忘れられたってどういうこと!?」

自分が願ったんだ。神様に助けてくださいって...。
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