ポリスに恋した

陽太サイド

『あの、ごめんね。君、誰だっけ?』

桜に向かってそう言った時の玲於のことを、忘れることはできない。

どうして桜のことだけを忘れているのか。

それだけ、倒れる前に桜のことを考えていたのか?

俺は、桜が傷ついてる姿をもう見たくないー。

強盗に襲われた時も、かなり精神的に参っていた。

見ていて俺も父さんも母さんも、すごく辛かった。

桜には、いつも笑顔でいて欲しい。

そして玲於にも。

玲於の病室の前に立ち、扉に手を掛ける。

「よう、元気か?」

「ああ、陽太。だいぶ良くなったよ。もう傷もあまり痛まないし」

「そっか。あんまり無理するなよ?」

「ありがとう。...ところで、桜ちゃんのことなんだけど」
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