ポリスに恋した
もう、私はどうしていいか分からない。

「…今は、あいつのことなんて考えるなよ」

「え?」

「俺さ、桜のことが好きだ」

「え?」

一瞬、時が止まったかと思った。

だって、そんなことがあるわけ、ない。

「なに、冗談?」

「これで、冗談かと思うか?」

腕を引かれ、颯の心臓に手が置かれる。

早鐘を打っているかのように、鼓動が速い。

本気、なんだ…。

「桜がずっと、他の男のこと考えているのが気にならないから」

真っ直ぐな視線に、顔が赤くなる感覚がする。

気持ちは嬉しい。

けど、やっぱり私は…。

「ごめん、颯…。颯のことは、大切な友達って思ってる」

「…分かってた。桜を困らせるだけだから、言わないつもりだったけど。やっぱり伝えたくて、ごめんな。じゃあ、またな」

バスが到着し、そのまま颯はバスを降りていった。

突然のことに、頭が追いつかない。

でも、やっぱり私は…。

私の頭の中に浮かんだのは、あの人だけだから。

ーよし、決めた。

今日、帰りに玲於くんに告白するー。

颯は、私に気持ちを伝えてくれた。

私も、玲於くんに伝えるんだ…。
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