死にたい僕と生きたい君との最初で最後の恋

朝、スマホのアラームが鳴る前に目が醒めた。
いつもはアラームを止めた後も眠くて二度寝してしまうのに、目が冴えている。

すぐにラインを開き文字を打ち、送信する。

今日最初の賭け、
先に起きてライン送った方が勝ち、
結果は僕の勝ちだ。
これで僕の2勝1敗。

少しして既読がつき、返信がくる。

『うわー!
絶対勝てると思ってた!』

『早見君、朝弱そうなのに!』

女子らしい可愛いスタンプと共に送られてきたそのラインに、
僕は朝から胸が高鳴るのが分かった。

いつもは眠さからただ口に運び咀嚼して飲み込む作業、と考えている朝ご飯が美味しく感じる。

身支度を済ませ、家を出ると空は雲ひとつなく青く澄み渡っている。
眩しさに目を細める。

こんなにも気持ちがいい朝は久しぶりだ。
こんなにも、学校へ行くのが楽しみなのは久しぶりだ。

全部、望月のおかげだ。

本当はもう、
僕は死ぬ気なんてないんだろう。

望月がいるから。

だけど、
僕と望月を繋ぐものは、
僕達の命をかけた賭け、だから。

いつまで続けるのかは分からない。

ただ、
この賭け、僕は絶対に負けない。

だって、
僕が負けたら望月は僕と一緒に死ぬ、とそう言ったんだ。

だから、負けない。

勝って、
そして許されるなら、

君と生きていきたい。



……なんて、
浮かれた考えを持っていた。

望月が、

誰にも言えない悩みを抱えているなんて知らずに。






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