Love Story〜結くんとマリィの物語〜
電車内はほぼ満員で、結翔と茉凛は端の方に向かった。
茉凛を壁側に誘導し、囲むように結翔が立つ。

結翔と密着し、茉凛は更にドキドキしていた。

このドキドキを隠すように、窓の外を見る。

「暑いですけど、お天気良くて良かったですね!」

「そうだね!
まぁでも、水族館の中は涼しいだろうから!」

「はい!そうですね!」
ニコニコしている茉凛。

結翔は茉凛の頬をツンツンと突付いた。
「今日のマリィは、ニコニコしてる(笑)」

「だって!
デート、楽しくって!」

「まだ会って、電車しか乗ってないのに?(笑)
しかも、満員で暑苦しいよ?」

「はい!
結くんと一緒なので!」

「フッ…そっか!(笑)」

「こんなふうに会って、手を繋いで、見つめていられたらそれだけで嬉しくて楽しいです!」

「そっか!
でも“見つめて”じゃなくて“見つめ合おうよ”」

「え?//////そ、それはちょっと…//////
て、照れます//////」

顔をグッと近づける結翔に、茉凛の顔がバッと赤くなる。
結翔はクスクス笑っていた。

そして最寄りの駅に着き、電車を降りた。
少し押されるように改札に向かう。

「楽しみですね!水族館!」

「フフ…そうだね!
新しくリニューアルしたみたいだしね!
フフ…でも、ほんと好きだよね、魚」

「いやいや、魚というより…
水族館のあの雰囲気が好きなんです!
なんか……時間がゆっくり流れている感じがして、薄暗くて、誰にも邪魔されない感じ。
魚達も自由に泳いでて、私も自由にゆっくり出来る感じがして……!」

「なるほど!
確かに、特別な空間ではあるよね(笑)」

「水族館だったら、一日中いれますよ?(笑)」

「ジーッと魚を見つめるの?(笑)」

「はい!」

「そっか(笑)」
(可愛いな、ほんとに…!)
 
結翔も、一緒にいれるだけで楽しさや嬉しさを感じていた。


茉凛は、結翔が出会った中で特別だった―――――

茉凛は“結翔の隣にいれること自体に”幸せを感じている。
更に、つり合うようにと背伸びすることさえも“楽しんでいるように見える”
そして茉凛は、基本的にポジティブだ。
発言も、前向きな言葉が多い。

こんな女性は、初めてだった。

幸せそうに見上げる視線、表情、口から出る言葉も綺麗で、結翔も幸せな気持ちになる。


同じ感覚を共有出来てることに、幸せを噛みしめていた。
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