Love Story〜結くんとマリィの物語〜
「結くん、少し遠回りして帰りたいです」

居酒屋を出て、ゆっくり歩きながら茉凛が結翔を見上げる。 

ほろ酔いの茉凛。
ほんのり顔が赤くて、目を潤んでいる。

しかも上目遣いで見上げられ、結翔の胸がキュンと痛む。
(可愛い…//////)
「もちろん、いいよ」

「やった!」

暑さはあるが、今日は比較的風が涼しい。
優しい風が、二人を包みこんでいた。

「マリィ、今日泊まってかない?
それか、僕が泊まりに行ってもいいし。
どっちにしても、一緒にいたい」

「うー」

「ん?」

「泊まりたいのは山々なんですが……
今日は、それどころではなくてですね……」

「うん、何があるの?」

「明日までに準備しなきゃいけない資料がありまして……」

「は?
マリィ、明日も出勤なの?」

「あ、いえ!
出勤というか、主任に資料だけ渡せばいいだけです。
午後から使う資料で、今日終わらなくて……
主任から、お家に持ち帰っていいよって言ってもらえたのでその……」

「そっか…
うーん…
それでも、泊まっちゃダメ?
邪魔しないようにするから!」

「あ…//////」
(何、この…神がかった言葉!)

「ね?」

「はい、仰せの通りに!」

「フフ…
……………でもさ。
仕事しなきゃなら、お酒飲まない方がよかったんじゃないの?」

「え?あ…まぁ…
でも、結くんからの誘いは断れません!」

「……ったく…(笑)
シラフでも仕事進まなかったのに、お酒飲んだら余計に進まないよきっと。
そうゆう時は、ちゃんと言って?
わかった?」

「うぅ…はい…
ご、ごめんなさいです…
でも、そんな沢山飲んでないし…」
痛いところを突かれ、口ごもる茉凛。

「とりあえず、行こうか。
仕事しなきゃなら、真っ直ぐ帰ろうね!」

途中近くのコンビニに寄り、茉凛の住むアパートに向かった。


「――――マリィ、シャワー借りるね。
汗でベタベタしててさ」

「はーい!
あ!でも、お風呂沸いてないです。ごめんなさい」

「え?シャワーでいいよ」

「でも、ちゃんと湯船に浸かって疲れを取らないと!」

「うん。
湯船は、あとからマリィと一緒に入った時に浸かるよ!」

「……/////」

顔を赤くする茉凛に、結翔は「ほんと、可愛いね」と微笑み風呂場に向かうのだった。
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