Love Story〜結くんとマリィの物語〜
結くんと桔平とマリィ
暦では秋になったが、まだまだ暑い日が続いているある夜。

ベランダて煙草を吸っている結翔のスマホに、桔平からメッセージが入った。

【ユイ、久しぶり。
ちょっと、電話出来ない?】

【いいよ】と返すと、すぐに電話がかかってきた。

「桔平?」

『久しぶり!』

「久しぶり」

『ごめんな、突然』

「ううん、どうしたの?」

『ユイ、茉凜とはどんな感じなの?』

「おかげさまで、順調だよ!」

『そっか!
あのさ!近い内に、二人で飲みに行かない?』

「え?」

『話したい事があるんだ……!』


後日結翔は、三年ぶりに桔平に会った。

居酒屋のカウンターに並んで座る、二人。

「「乾杯…!」」
酒を飲みながら、最初は他愛ない話をする。

桔平は建設会社で働いていて、そこの社長の娘と交際しているらしい。

「―――――元気そうで良かった!」
結翔が微笑み、ビールを飲む。

「ユイ」

「ん?」

「…………ごめんな」

「は?なんで、謝るの?」

「茉凜のこと」

「………」

「………俺…さ。
ずっとお前に、劣等感抱いてた。
格好良くて、頭も良い、しかも紳士みたいに穏やかで落ち着いてて。
ダチでいられることが嬉しい反面、羨ましくて悔しくて。
だから茉凜を使って、優越感に浸りたくて紹介したんだ。
もちろん茉凜のこと好きだった。
でも、後から考えたら……利用してたんだ、茉凜のこと」

「桔平…」

「茉凜ってさ。
特別美人とかじゃねぇじゃん?
あ、一般的な意味で」

「うーん…まぁ…」

「でも、可愛いだろ?」

「あ…あぁ(笑)」

「茉凜の雰囲気って、柔らかくて癒される。
男って、癒しを求めるじゃん?
まさに茉凜は、そうゆう意味では完璧だった。
明るくて、いつも笑ってて、考え方も前向き。
だから、一緒にいると落ち着くんだ」

「うん、そうだね」

「そんな女、俺達の周りにはいなかったろ?」

「うん」

「だから、お前に紹介したんだ!」

「え?」

「ユイなら“100パー”茉凜に惚れるって自信があったから」

「え……」

「お前。めちゃモテてたけど、彼女になる奴って何故か美人で傲慢な奴ばっかだったろ?
…………だからお前、癒しを求めてた」

「…………あぁ…それで、マリィ?」

桔平が頷く。
「それでまんまと僕は、マリィに惚れたってわけか!(笑)」

「そうそう!」
クスクス笑って言う結翔に、再度桔平が頷き笑った。


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