失恋した私を慰めてくれるのは、オネェな彼(彼女?)でした
「営業一課の西野くん、彼女できたらしいよ!」
「え〜しょっく!私狙ってたのに〜」
「あんなイケメンの彼女なんて相当な美人だろうねぇ」
今日も今日とて、受付事務の方々が女子トークに使う給湯室券休憩室は社内で人気をしめる"西野くん"の話題で持ち切りだ。
私はそんな彼女たちの噂話に、お昼ご飯と称したカロリーメイトとサラダを黙々と食べながら傍耳を立てる。
"西野くん"は私と同部署の営業一課。
そして私の同期。
顔が今流行りの塩顔と言われる系統で、身長も180cmと高身長。おまけに、仕事もバリバリできて成績は課内では常にトップ。
営業トップなだけあり、お喋りが上手でかといって誠実な印象で社内外での男女限らず信頼や人気はとても厚い。
そんな完璧な人間がいてたまるものかと、そんな彼をもちろん妬む人も多からず存在する。
私はそんな彼に憧れていた。
人に妬まれることを知らない私は、羨ましいとさえ感じていた。
同期入社で、存在は入社時から知っていた。
意図的に視線送らずとも、目立つ上に当時から視線を受けまくっていてあのルックスなのだから、気付けば視界の隅には彼がいた。
そんな彼と同じ部署になり、必然と会話も増えて同期ということもあり仕事に限らず飲み会などでも接する機会が増えた。
そうするうちにも彼の色々な一面が見えてきて、気付けば彼の顔が無意識に浮かんできたりして……
超えるはずがないと思った、憧れの一線をあえなく飛び越えて
私は彼に、完全に惚れてしまっていた。
自分がこんなに単純だったなんて、信じたくなかったが…
あのルックスで、仕事もできて、かつ気遣いもできて話も上手くて優しくて???
そんな完璧な彼に、まんまと惚れてしまった……
だからといって、私がなにか行動を起こせるかといえば、残念ながらそんなことは殊更なく。
毎日彼と職場で顔を合わせて話が出来て、接点が増えれば心の内で喜んで…。
そんな小さな喜びで満足していた邪な気持ちに天罰が食らったのか。
女子トークの盗み聞きであえなく失恋するなんて ──
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