戦略的恋煩い
 いい感じに酔いが回ってきたところで日本酒を開けたのが運の尽き。甘口だから飲みやすくて、ぐでんぐでんに酔ってしまった。

 まずい、人様の家で醜態を晒すわけには……と必死に平静を保とうとしても、座った状態でまぶたが引っついてしまう。このまま眠ってしまえたら幸せなのに。


「酔った?」


 私の顔を至近距離で見る律輝の顔色は全く変わっていない。むしろ酒が入った影響で目が潤んで、新たな色気を獲得している。

 いいなぁ、こんなイケメンと付き合えたら毎日幸せだろうな。


「うんん、律輝お酒強すぎ」

「次から合わせなくていいから自分のペースで飲んで」

「次、ってぇ?」

「俺、ここで終わらせるつもりない」

「何を?」


 回らない呂律と、アルコールに侵された体では受け答えするので精一杯。


「小夏との関係」

「んっ……?」


だから──突然キスをされてもしばらく理解できなかった。
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