戦略的恋煩い
 小さな水音が部屋の中に響く。おかしいな、暴風の音の方が大きいはずなのに、やけにそっちの方が耳に残る。


「小夏、濡れすぎ。ソファだめになっちゃう」


 目線を落とすと律輝の長い指が、脚の間にある熱を持った部分に触れていた。恥ずかしいのに視覚から得る情報に更なる快感を覚え、気持ちよくて視線を外せない。


「ごめん、なさい」

「違うよ、こんなに濡らすほど気持ちよくなってくれたんだって嬉しい」


 久々に他人の指を秘部に迎え入れているこの状況に興奮する。だけど、もっと奥がうずいて切ない。


「あぁっ、ん、もう、指やだ……」

「なんで?こんなに吸い付いて気持ちよさそうなのに」

「違うの。もう、挿れて欲しい……」


 彼の体にすがりついて懇願すると、律輝は少し驚いたような顔をした。それから私の頬に触れると、キスをして優しく微笑んだ。


「おねだりの仕方がかわいいから、いいよ」


 そう言うと律輝は立ち上がりソファを一旦離れ、寝室から避妊具らしきものを持ってきて私の横に腰を下ろす。酔いと快感の余韻に身をゆだねぼーっと何も映らないテレビを見つめていると、不意に押し倒されて律輝の顔が面前に来た。

 脚を広げられ、律輝の手が鼠径部に触れる。もう片方の手は自らの大きく張った熱に触れており、避妊具越しに割れ目に沿って上下運動を繰り返す。

 もう十分濡れているから中に欲しいのに。だけどそんなこと言えるわけなくて、口を結んで素股の快感に耐えていると律輝と目があった。

 よほど待ちわびた顔をしてたのだろうか。律輝はニヤリと笑って腰を前に突き出した。
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