戦略的恋煩い
変則的アプローチ
「……夢じゃない」


 夢オチを期待して、二日酔いにうなされて起きると自宅ではなかった。朝日が差す部屋の中、素っ裸で律輝の部屋のソファに寝ていた。

律輝は部屋におらず、水の流れる音がするからシャワーを浴びている最中だろう。倦怠感に苛まれつつ起き上がり、そして何気なく床に視線を向けて見て硬直した。


「嘘でしょ……」


 なにか仕出かしてしまったのは、近くに置いてあったゴミ箱を見れば歴然だった。結んだ避妊具が入っている。焦った私は律輝と鉢会う前に家を出てしまおうと、ひとまず下着を身につけた。

 ところがその瞬間に部屋のドアが開いて、半裸の律輝がタオルで頭を拭きながら登場した。


「おはよ、晴れたね」

「……」


 私は驚きのあまり声が出なかった。なぜなら律輝の肉体美に虜になってしまったから。色っぽい首筋と鎖骨、なだらかに膨らんだ大胸筋、はっきりとした陰影の腹直筋。やばい、腹筋バキバキじゃん。

 マッチョは兄で見慣れてるけど、度を超えたセクシーさに直視できなかった。
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