戦略的恋煩い
「やばい……かっこいい……」


 えっぐいギャップを前に、足の力が抜けてベッドに座り込んだ。まずい、知れば知るほど好きになる要素しかない。冷静になれ、隣人とセフレなんてまっぴらごめんだ。


「小夏?どうした、まだ寝ぼけてる?」


 律輝はタオルを首にかけ、半笑いで私に近づく。シャンプーのいい匂いがして妙に緊張した。

 だめだ、見とれている場合じゃない。相手のペースに惑わされたら都合のいい女認定されてしまう。


「あの……これは一体、どういうこと?」

「覚えてない?誘ってきたのはそっちなのに」


 表情を改めて訊くと、衝撃の事実が判明した。私から誘ったの?いや、夢の中では律輝からキスしてきたはずなのに。


「え、うそ……」

「ごめん嘘、俺がその気にさせた」


 驚きを隠せなくて、泣きそうな顔で見つめると、律輝は屈んで目線を合わせ破顔した。冗談とかいうタイプだったっけ?昨日とキャラ違くない?いったいどれが本当の律輝なの。


「ねえ、小夏」

「なに?」

「俺と付き合いません?」


困惑する中、不意に爽やかな笑顔で交際の提案をされた。
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