戦略的恋煩い
「えっ!?私の部屋はだめ!汚いから」

「ふーん、俺の部屋には来たのに?寝る場所提供して洗濯までしてあげたのに?」


 とっさに嘘をついて逃げようとしたけど、痛いところを突かれて断りきれない。実は私の部屋は少々乙女チックというか、男性には理解できないインテリアばかりだから来ないで欲しい。


「……律輝って結構したたかなんだね」

「どうも」

「褒めてないんだけど」


 嫌味を言ったつもりが片方の口の端を上げてご満悦。その後押し問答が続いたけど、私は結局律輝を部屋に上げてしまうのだった。


「ドアは開けないでね!開けたら嫌いになるから」

「慌てふためいてるのかわいい」

「怖い顔して言わないで」


 部屋に上げるとはいったけど、律輝が入っていいのは玄関からキッチン部分まで。そういう決まりを作ってメインの居住地には入らないように声をかけた。

 律輝は部屋には目もくれず、慌てふためく私を、眉間にしわを寄せて見つめている。ガン見されるのは居心地悪いから、私だけ部屋の中に入って服を着替えることにした。
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