戦略的恋煩い
台風の最接近が20時という予報だったため、その日の業務はいつもより2時間早く16時に終了した。とはいえ風が強く、傘が意味を成さない。
びしょ濡れになってなんとか自宅マンションまで帰り、オートロックを解除しようとバッグの中から鍵を捜す。
しかし、いつもバッグの内ポケットに入れているはずの鍵の感触がなくて思考停止した。今度は中を覗き込み入念に捜索しても、鍵がない。
「え……うそ」
職場のデスクに置いた記憶はあるけど、バッグに入れたかどうかは定かではない。
まさか、家の鍵を職場に置きっぱなし?
「どうされました?」
サーッと血の気が引いてふらついたその時、後ろから声をかけられた。
振り返ると、雨に濡れて魅力の増した隣人が後ろに立っていた。漂う色気に思わず息を止めたけど、惑わされてる場合じゃないと息を吐き出し煩悩をかき消した。
「その……鍵を紛失したみたいで」
「鍵を?そうですか、とりあえずオートロック解除しますね」
「ありがとうございます……」
鍵がないことを伝えると、彼は冷静に自分の鍵でオートロックを解除し、エントランスの中に入れてくれた。
びしょ濡れになってなんとか自宅マンションまで帰り、オートロックを解除しようとバッグの中から鍵を捜す。
しかし、いつもバッグの内ポケットに入れているはずの鍵の感触がなくて思考停止した。今度は中を覗き込み入念に捜索しても、鍵がない。
「え……うそ」
職場のデスクに置いた記憶はあるけど、バッグに入れたかどうかは定かではない。
まさか、家の鍵を職場に置きっぱなし?
「どうされました?」
サーッと血の気が引いてふらついたその時、後ろから声をかけられた。
振り返ると、雨に濡れて魅力の増した隣人が後ろに立っていた。漂う色気に思わず息を止めたけど、惑わされてる場合じゃないと息を吐き出し煩悩をかき消した。
「その……鍵を紛失したみたいで」
「鍵を?そうですか、とりあえずオートロック解除しますね」
「ありがとうございます……」
鍵がないことを伝えると、彼は冷静に自分の鍵でオートロックを解除し、エントランスの中に入れてくれた。