戦略的恋煩い
「じゃあこれは?」

「ひぁ、やだ」

「嫌?これ好きって言ってたのに」

「んぅ、きもち、よくて……やだっ」


 服の中に手を入れて胸の膨らみに触れ、私の弱いところばかり触ってくる。私はこんな風に体をまさぐられたことをなんとなくしか覚えてないのに律輝は知り尽くしている。

 短時間で快感に蝕まれていく。一方的に弱点を暴かれた影響で、律輝に体を許すのは容易なことだった。


「あぅ、うごか、ないで」

「なんで?こっちは締め付けてきて早く動いてって言ってる。ねえ、前も同じこと言ってたの覚えてる?」

「んぁ、ッ……知ら、ない」

「じゃあ今日はちゃんと覚えて帰って」


 繋がったら容赦なく打ちつけられて、重い快感に沈んでいく。のしかかる体重が、耳にかかる吐息が体の芯を熱くさせる。

 覚えてないなんて嘘だ。本当はこの感覚を味わいたかった。キスされて抱きしめられて、体ごと愛されるような錯覚を。


「もっと声出していいよ」

「やだ、っ、見ない、で」

「意地張ってないで、早く俺のこと好きになって」

「やっ、激し……ッ、あぁ」


 意地を張っているのは口だけ。体は律輝を受け入れ、シーツを濡らすほど愛液が滴っている。激しく求められ、強い快感に慣れていない私は、翌日案の定寝坊した。
< 30 / 72 >

この作品をシェア

pagetop