戦略的恋煩い
扇情的ランデブー
 律輝と出会った台風の日から3週間が過ぎた。今日は律輝に「上司からいい酒をもらったから」という理由で宅飲みを誘われた。

 相変わらず表情は、何年か前に巷で話題になったチベットスナギツネ並に動かない。よく喋る方だけど基本的に愛想は良くない。でも、甘え方は大胆になってきた。

 膝枕を要求してきた律輝は、ソファで座って飲む私の腰に巻き付くように抱きしめながらうつ伏せで私の太ももに顔を押し付けている。


「小夏と付き合いたい」


 酔うと口癖のようにそう言う律輝。素面の時は絶対言わないから、なかなか付き合ってくれない私に対して内心焦ってるのかもしれない。

 私はというと、律輝に釣り合う美人ではないことは分かりきってるし、こんなどこにでも居るようなアラサーOL、いつか飽きられるかもしれないと考えたら怖くて答えを出せずにいた。

 さすがに1か月経ったら答えを出さなければと思うけど。
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