戦略的恋煩い
「小夏は毎日おはようからおやすみまで送り合いたい?」

「遠距離ならそうかもしれないけど、私たち超近距離だから別にいい」

「確かに」


 律輝にとって負担になるならスマホ上のやり取りは控えておこう。そもそも毎日顔合わせてるし。しかし律輝は私に我慢させていると思ったのか、そっとソファに並んで座って私を抱きしめた。


「よく現代社会に適応してないって言われるから、他にも何かあったら遠慮なく言って」

「ぶっ……なにそれ」


 深刻な顔で変なことを言うから吹き出してしまった。それだけ私に対して真剣なのだと実感して勝手に頬が緩む。


「変わってるって言われるから、小夏には迷惑かけたくない」

「変わってるっていうか、律輝の場合は自分がしっかりあるから周りに流されないだけだよ。気遣ってくれる心があるから大丈夫」


 そんなに不安がることないのに。こうやって向き合ってくれる時点で、律輝が真面目なのは伝わる。律輝ならきっと大丈夫。私はそう思って笑いかけた。
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