戦略的恋煩い
「律輝って意外とさみしがり屋?」

「さみしいってより、焦ってる」

「なんで焦るの?」

「その種明かしは、小夏が俺のこともっと好きになったら教える」

「え……怖いんだけど」

「大丈夫、小夏にデメリットはないから」


 単純な疑問のはずが、律輝は急に怖いことを言い出した。律輝にハマりこんだ果てに何が待ってるの?まさか借金とか、宗教勧誘とか?逃げ出せないほど好きにさせてマインドコントロールさせるつもりだったりして。


「……小夏、聞いてる?」

「あ、ごめんもう一回言って」


 思わず考え込んでしまって律輝の話を聞いてなかった。慌てて聞き返すと、律輝は私の顔を見ながら口を開いた。


「泊まるの負担じゃない?って聞いた」

「負担では無いけど……もうさ、同棲した方が早そうだよね」

「同棲する?俺はいっそ結婚してもいい」


 試しにカマをかけてみると、真顔で食い気味に結婚などと言い出した。どうしよう、一度疑うとますます怪しい……。
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