戦略的恋煩い
〈久しぶり、元気してる?〉


 元カノに送るテンプレみたいな文章を送ってきたのは、やはり最低最悪の元彼。別れてから丸一年、まったく連絡取ってなかったのにこのタイミングで送ってくるとかなんなの?

 律輝は私の強ばった顔を見ていたようで、顔をしかめて私の袖をちょいちょいと引っ張った。うわ、不安そうな顔かわいい。なんて見とれてる場合じゃない。誤解されたくないから早く弁解しないと。


「……誰?」

「元カレ。ブロックしてたけど着拒はしてないから、ショートメッセージ送ってきた」

「はあ?……チッ」


 律輝は綺麗な顔を歪めて思いっきり舌打ちをして、スマホを取り上げた。そして勝手に何か文章を打ち込んでいる。


「あ、ちょっと!変に刺激するとめんどくさいから無視でいいよ」

「ごめん、もう送った」


 律輝はムッとした顔で画面を見せてきた。

〈7股野郎が何の用ですか。私はもう彼氏がいるから話しかけないでください〉

思わず笑った、浮気された本人より殺意増し増しなんだけど。
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