戦略的恋煩い
「どうしました?」

「……笑顔が素敵ですね」

「よく言われます」


 呼吸を整えながら必死に受け答えすると、慣れた対応をされた。手慣れてるな、こんなイケメンだったら当たり前か。

 謙遜しない辺りモテるんだろう。だったら大丈夫、こんなくたびれたアラサーOLに手を出したりしないはず。よほど女に見境のない限りは。


「小夏さんっておいくつです?」


 ほんの少し私に興味を持ってるみたいだけど、また無表情に戻ったから、笑顔を維持するまでもないと思われているに違いない。


「28です」

「あれ、年上だったんですね」


ところが年齢を伝えると、今度は目を丸くしてずいぶん幼く見える表情を見せた。


「えっ、年下!?」

「26です、身長タッパあるし表情が乏しいから、よく実年齢より上に見られます」


律輝さん、2歳下か。てっきりタメか年上だと思ってた。確かに身長高いし、表情も乏しい。後者に関しては自覚があったのと不覚にも笑ってしまった。
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