幼馴染みは御曹司+上司様

回想 幼い頃の記憶……

恭くんは3歳年上の幼馴染み。

パパの転勤が言い渡されるまで家が隣同士ということもあって、親同士が仲がよくて、家族ぐるみの付き合いをしていた。

標高の高い山に登ったり、高原でキャンプ、海辺でバーベキュー、スポーツ観戦……いろんなところに遊びに行ってた。

恭くんはすごく優しくて、いつもわたしと遊んでくれた。

わたしは恭くんといることが楽しくて、ずーっと、恭くんの傍にぴたっと、くっついて片時も離れなかった。
正確には……離れたくなかったんだ。

どこに行くにも何をするにもいつも一緒。
恭くんの(そば)には必ずわたしがいる。
それが当たり前だと思っていたし、恭くんの隣(そのばしょ)がわたしの居場所(・・・)だと思ってた。

どうして、こんなにも恭くんの(そば)にこだわっていたかと、いうと……私にとって恭くんはヒーローだから……。

今はもう、なんともないのだけど……幼い頃のわたしは少し喘息を患っていて、ちょっとしたことですぐに咳き込むくらい身体(からだ)が弱かったんだ……。

一度咳き込むとなかなか止まらなくて……
「病気がうつるっ!」
「来るなーっ!!」って、よく周りにいる子ども達に言われてた……。

わたしは生まれた時から身体(からだ)が小さい方で発育も同年代の子に比べると遅かったこともあって……体格がすごく小さくて、喘息もちと、いうこともあって体力もなかった……。
だから、一緒に遊んでもらえるどころか……しょっちゅうバカにされてた。
勇気を出して、わたしから「遊ぼ!」と、声をかけても無視をされたり、逃げられてしまうのがオチ……。

いつも一人ぼっち……。

淋しい……。
哀しい……。
惨めで悔しくてツラい気持ちが涙として溢れて……わたしは泣いてばっかりだった……。

そんなわたしに恭くんはいつも優しくしてくれた。

パッとわたしの目の前に現れて、嫌がらせしてくる子から助けてくれたり、わたしが遊びたいことを優先して、一緒に遊んでくれた。

ちよっとぶっきらぼうな態度だったけど……優しさに溢れてた。
子ども心にすごく嬉しかったんだ……。
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