わたしの話、聞いて下さい
『いや、女の人と目が合って…それに
あの場所で上半身が真っ直ぐに
なるなんてありえない。
なんて言うかあの体勢は
“オットセイ”みたいだった。』
いつもなら大笑いするところだが
その日、俺ともう1人は笑えなかった。
なぜなら
得体の知れないその女は
両腕で上半身を支えている形で立っており
それに
俺たち全員と目が合っていたのだ。
俺たちは知っている。
あの数秒感。
あの女は一度も瞬きもせず
一切視線を逸らす事がなかった事。
それなのに全員が同じタイミングで
“ソレ”と目が合っていた事をー…。