闇夜と夜明けの狭間で恋をする。


トコトコとベッドに向かい、布団に入ろうとしたそのとき。


ブー、ブー、ブー。


と、机の上にあるスマホが、着信音を鳴らした。


えっ、今机からベッドに移動してきたところなのに。


こんな時間に誰だろ……。


そんなことを思いながら、机までもう一度移動し、椅子に腰掛けた。


スマホを見ると、そこには「綾音」の文字。


綾音? こんな時間に、どうしたんだろう。


電話にでて、「もしもし」と声を発する。


『あっ、莉子? ごめんね、こんな時間に!』

「ううん、大丈夫。どうしたの?」

『今日放課後言おうと思ってたんだけど、忘れちゃって……! 明日、ツキノカフェ行かない?』

「えっ? ツキノカフェ?」


ツキノカフェとは、隣町のいちばん大きなデパートにあるカフェのことだ。


カフェにある飲み物もデザートも、おいしそうだったから、いつか行きたいと思っていた。


人気店だから人がたくさんいて、行くのをためらっていたんだけど……。


「でも、混んでるよね?」

『んー、そうだね。でもさ、莉子、前行きたいって言ってたじゃん?』

「えっ、覚えてたの!?」


確かに、いつの日だったか……。


多分もう1ヶ月前くらいだと思う。


世間話をしていたときに、ポロッとそんなことを口にしたのだ。


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