闇夜と夜明けの狭間で恋をする。
そんなことを覚えているなんて、さすが綾音だ。
『もちろん! 莉子の言ったことだからね』
「綾音……!」
きっと今、綾音は電話の向こうで得意げな顔をしているだろう。
安易に想像ができて、ふっと小さく笑みをこぼす。
「ツキノカフェ、行きたい。何時に待ち合わせする?」
『んー。9時に駅前集合でどう? 早めに行けば、午後よりは混まないんじゃない?』
「了解。明日、楽しみにしてる」
『私も!』
電話ごしに聞こえる、綾音の弾んだ声。
その声が、もっと私を楽しみにさせる。
そういえば、綾音と出かけるのって結構久しぶりかも。
明日が待ち遠しい。
『じゃあ、あんまり遅くなるとよくないから、早めに切るね。また明日ね、莉子!』
「うん! また明日!」
『あははっ。またね』
綾音がそう言った後、電話が切れた。
綾音と出かけるの、本当に楽しみ。
しかもツキノカフェに行けるなんて……!
握りしめていたスマホを机の上に置き、びょん、と椅子から立ち上がった。
さて、今度こそ寝ようかな……。
トコトコとベッドまで歩いて、ベッドの上に横になる。
そして、ぽんっと体の上に毛布をかぶせた。
ベッドの斜め上にちょうどあるスイッチを押して、部屋の電気を消す。
それから、ベッドの上にあるスタンドライトを灯した。