闇夜と夜明けの狭間で恋をする。
*
「わあっ、すごいよ莉子! 早く来たからすいてる!」
さも嬉しそうに目を輝かせる綾音。
もちろん嬉しいと思っているのは、綾音だけじゃない。
というか、私の方が喜んでいる……と思う。
私たちは今、ツキノカフェで順番待ちをしている。
午後では30分以上待たなくてはいけないところを、開店時間直後くらいに来ると、10分ほど待つだけでいいらしい。
すごいお得なこと知っちゃった……!
次から午前中に来て、ツキノカフェを堪能しよう!
このカフェの料理はどれくらい美味しいんだろう?
ツキノカフェで朝ご飯をすませるつもりできたので、まだ今日は何も食べていない。
今の時刻は9時半。
世間一般では、だいぶお腹がすく頃。
もちろん、私も腹ぺこである。
本当は早く店内に入りたくて仕方がないところだけれど、10分しか待たなくていい、という優越感があるので、我慢できる。
約束通り、私たちは9時に駅に集合した。
それから15分ほど電車に揺られ、さらに10分ほど歩いてカフェに来たところで、今に至る。
このカフェの開店時間は9時だから、他の人よりは早めに来た……はず。
「こんなにすいてること、あるんだ……」
なんて、まだ綾音は驚きの声をもらしている。