闇夜と夜明けの狭間で恋をする。
「えっと……、フレンチトーストとサラダのセットが2つ」
「はい、おふたつですね」
「それから、期間限定のパフェと、いちご&バニラのたっぷりクレープ。
そして、ショートケーキ、お願いします」
「かしこまりました。先程の品物、全て1点ずつでよろしいでしょうか?」
「あ……、はい。大丈夫です」
「それではご注文の確認をさせていただきます……」
店員さんは、さっき綾音が言った品物を、ていねいに読み上げていく。
その様子を、綾音はどこかムスッとしたような、そんな表情で見ていた。
だけど、時折ふっと表情が緩むときがあったり。
綾音、いつもと違う。
なんて言うか、雰囲気とか、表情とか。
本当に……どうしちゃったんだろう。
「お客さん、よく食べるんですね」
と。
店員さんは、品物を読み上げ終わったあと、突然そんなことを口にした。
だけど、店員さんの視線は私には注がれていない。
その視線は、まっすぐに綾音をとらえている。
空くこと数秒の間。
言葉を理解したのか、綾音は目を見開いて。
「はあっ!?」
と、店員さんに向かって声をあげた。
「これ、私ひとりで食べるわけじゃないので。勘違いしないでくださいねっ」
「それにしても、多くないですか?」