甘えたがりの君に恋をする。
自分の席に向かいながらも、ほとんど無意識に〝彼〟の姿を探してしまう。
いつもだいたい教室の後ろの方にいるので、そちらをちらりと見やる。
それなのに。
……あれっ、いない?
じゃあ、違うところにいるのかな。
そう思って教室を見渡して見るけれど、彼の姿はない。
いつもこの時間には教室にいるはずなのに。
えっ、もしかして、今日休み……?
少なくとも、高2になってから、彼が休んだことは無かったと思う。
なんて考えながら席に着いた直後、ガラガラッと再びドアを開ける音がした。
反射的にそちら側に目をやると、数人の男子たちが教室に入ってくるところだった。何やら色々話していて、その中に彼もいる。
……なんだ、休みじゃなかったんだ。
ほっ、と安堵の息を吐く。そしてまた、無意識に彼の行方を見てしまう。
友達と色々話しながら彼は席にカバンを置くと、そのうちの一人である森野くんに、後ろからぎゅっと飛びついて。
「ねぇねぇ、今日も放課後遊ぼーよ」
と、満面の笑みで語りかける。
「瑠歌お前、毎朝それ言ってんじゃん」
「だって遊びたいんだもんー!」