甘えたがりの君に恋をする。
ぷくっと頬をふくらませながら、すねたように言う彼。でも、すぐにふわりと笑って、
「いいじゃんっ、遊ぼ!」
と、抱きついたまま森野くんの顔を覗き込むようにして言った。
そして彼はまだ抱きついたまま、数人の友達となにやら楽しそうに話していた。
「〜〜〜っっ」
……可愛い。尊い。目が離せない。
彼が私に抱きついているわけでも、私に満面の笑みを浮かべているわけでもないのに、ドキドキ、と鼓動が速くなっていく。
そして、かああっと顔が熱くなっていくのが分かった。
さすがにこれ以上はやばいと思い、彼からふい、と顔をそむけた。
今日も朝から最大の癒しをもらえた……嬉しい。
浅野くん、と心の中で呼んでみる。
だけど、再び顔が熱くなってくるのを感じて、思わずうつむいた。
浅野 瑠歌は、私のクラスメイトであり、推しでもある。みんなが俗に言う「このアイドルが好き」「かっこいい」などと言った感情に近い。
だから、恋愛感情はないに等しい。でも、一度でいいから近づいてみたいとは思う。……叶うのがどれくらい先になるのかは分からないけれど。