闇夜と夜明けの狭間で恋をする。


そうでしょう?


だって、ここに証言者がいる。


私は、浅野くんに溺れているのだ。


「ね、すごい。私も見てたけど……やっぱり浅野すごい」


同じく浅野くんの動作の一部始終を見ていた綾音も、すごいすごい、と連呼する。


一旦箸を置いて、胸の前でパチパチと軽く手を叩きながら。


そして、少しだけ目をきらりと光らせて。


「浅野……うん。運動神経すごいよねぇ……」


しみじみと綾音は考える素振りをしてつぶやいた。


ちなみに、綾音も浅野くんのことを密かにいいと思っているらしい。


「でも、莉子ほどじゃないよ?」とも笑って言っていたような気がする。


「莉子も、浅野のそういうところに惚れたんだよね?」

「うぐっ!?」


なんて綾音が急に口にするものだから、さっきまで食べていた野菜の炒め物を、喉に詰まらせてしまった。


「ごほっ、ごほっ!」

「わわ、ごめん莉子!」


少し慌てたような様子で綾音が顔をのぞきこんでくる。


もうっ、変なこと聞かないでよ……!


たまたま一緒に持っていた、ペットボトルのお茶をごくりと飲む。


すると、むせてしまったのがだいぶ落ち着いたので、私は口を開いた。


< 4 / 20 >

この作品をシェア

pagetop