闇夜と夜明けの狭間で恋をする。
そうでしょう?
だって、ここに証言者がいる。
私は、浅野くんに溺れているのだ。
「ね、すごい。私も見てたけど……やっぱり浅野すごい」
同じく浅野くんの動作の一部始終を見ていた綾音も、すごいすごい、と連呼する。
一旦箸を置いて、胸の前でパチパチと軽く手を叩きながら。
そして、少しだけ目をきらりと光らせて。
「浅野……うん。運動神経すごいよねぇ……」
しみじみと綾音は考える素振りをしてつぶやいた。
ちなみに、綾音も浅野くんのことを密かにいいと思っているらしい。
「でも、莉子ほどじゃないよ?」とも笑って言っていたような気がする。
「莉子も、浅野のそういうところに惚れたんだよね?」
「うぐっ!?」
なんて綾音が急に口にするものだから、さっきまで食べていた野菜の炒め物を、喉に詰まらせてしまった。
「ごほっ、ごほっ!」
「わわ、ごめん莉子!」
少し慌てたような様子で綾音が顔をのぞきこんでくる。
もうっ、変なこと聞かないでよ……!
たまたま一緒に持っていた、ペットボトルのお茶をごくりと飲む。
すると、むせてしまったのがだいぶ落ち着いたので、私は口を開いた。