甘えたがりの君に恋をする。
この学校は、田舎にあるということもあり、3クラスしかない。だから、同じ学年の人の顔はだいたい知っている。
1年生のときから浅野くんの存在は知っていたけれど、特に接点もなかったので気になることはなかった。それに、どんな人かよく分かっていなかったのもあって。
だけど、2年生になってすぐ、浅野くんの可愛さと尊さに気づき、気がついたら〝推し〟という存在になっていた。
そんなことを俯きながら思うけど、顔の熱はなかなか引いてくれない。
お願い。早く引いて……っ。
真っ赤な顔を見られるのが嫌で、なかなか顔を上げることができない。
浅野くんのせいだよ……っ!
〝浅野くん〟という単語に脳が異常に反応して、鼓動がドッドッ、と速くなっていく。
『ねぇねぇ、今日も放課後遊ぼーよ』
バックハグをしながら、満面の笑みでそう言う浅野くんを不意に思いだしてしまう。
〜〜〜っ、もう……っ!!
浅野くんという存在だけでこんなにおかしくなってしまう私は、相当浅野くんに夢中らしい。
まるで何かに取りつかれているみたい。
「夏夜ー? 今日も推し活してるねぇ」