闇夜と夜明けの狭間で恋をする。
「べ、別に惚れたとかじゃなくて……!」
「えー、そうなのー?」
「そうだよ! だって、浅野くんは私の推しってだけで……! そういう変な意味じゃなくて……」
そう、浅野くんはあくまで私の推し。
確かに、浅野くんのことを見るとドキドキする。
胸が高鳴る。
話してみたいなぁって思う。
これが、俗にいう〝恋〟というものなのかもしれないと、本当は分かっている。
だけど、この感情を〝恋〟と名付けていいか、と考えると、どうしても自信が持てなくなるのだ。
だって、〝恋〟って言うのは〝その人を愛している〟という意味でしょう?
そこで、一つの疑問を私は抱いてしまう。
……〝愛〟とはなんだろう。
自分が大切にしたい人たちを、心から想うことを愛と呼ぶの?
それとも、自分がたった一人の大切にしたい人を、心から想うことを愛と呼ぶの?
それとも、もっともっと違うこと?
見知らぬ誰かにも愛という感情を抱くの?
自分のことを深く想ってくれている人に対する感情を愛と呼ぶの?
考え出したら止まらない。
〝愛〟の定義が分からない。
〝愛〟そのものが分からない。
だから、浅野くんに恋をしている、という言葉じゃ納得できない。
だって、愛しているのか分からないんだもの。