闇夜と夜明けの狭間で恋をする。
だから、私は。
浅野くんに対する感情を、〝推し〟という言葉で片付けた。
恋愛感情を抱いているわけではない。だけど、好き。見ているだけで幸せ。
多分これが、〝推し〟という言葉の定義。
私はガチ恋ファン、というわけではないから、きっとこの言葉がぴったりだと思ったんだ。
我ながらいい言葉を見つけたと思っている。えっへん。
「推し……かぁ。うん、そういうのもいいと思うなあ、やっぱり!」
そう笑って、綾音は私の言葉を肯定してくれる。
綾音のこういうところ、本当に好き。
綾音とは、高校生になってから出会った友達。
実は、一年生のときに、綾音の名字である〝日野〟と私の名字である〝古本〟で、出席番号が隣だったのだ。
だから、高校生になってから初めての友達が綾音だった。
それから何かと意気投合した私たちは、よく一緒に行動するようになって。
前提として、私たちの学校がある街は田舎である。
そのため、ひと学年三クラスしかない。
つまり、綾音と二年生になっても同じクラスになれる可能性は三分の一と高め。
そして運よくその三分の一を引き当てた私たちは、二年生になった現在も同じクラスになり、今でも仲は健在だ。
「……うん、ありがとう綾音」