闇夜と夜明けの狭間で恋をする。
焦りに焦って、急いで箸を動かす。
「もう、莉子ったら。本当浅野くんのことになると、目が無くなっちゃうんだから」
「……っ!?」
私が無事食べ終わったとき、綾音がにやりとしながら私にそんなことを言った。
浅野くんのことになると目がなくなるっ!?
確かに、あながち間違ってはいないけ、……!
「そ、そんなことないよ」
できるだけ冷静を装いながら言う。
だけど綾音にはその冷静さすら通用しないのかもしれない。
「えー?」とでも言うように首を傾げながら、口元に綺麗な弧を描いている。
「ま、いっか。とにかく遅刻するよ? もう3分前だけど」
「わわっ、急ぐよ綾音!」
「こっちのセリフー」
3分前……!
こんなにギリギリになったのは初めてかもっ。
なんて慌てながら、私たちは小走りで教室まで向かったのである。